エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
伯父夫妻は一時間とかからないうちに博已さんのマンションにやってきた。伯父はスーツのスラックス、ジャケット替わりに作業着を羽織り、伯母はニットにスラックス。ふたりとも職場にいるときのスタイルなので、家ではなくマルナカ弁当から直接来たのかもしれない。
中に通そうとしたけれど、玄関先でいいと言う。

私は両親にしたようにまずは博已さんを紹介した。交際していて結婚予定であるというのは博已さんの口から伝えた。伯母は一度会っているが、一瞬だったため覚えていないようだった。
伯父夫妻は驚いた顔をしたが、それよりも話したいことがある様子だ。

「菊乃、すまなかった」

そう言って伯父が頭を下げ、伯母も続いた。

「誤解だったんだよ。あんたが何もしていないのは本当だったんだね」

伯母の言葉に私は眉をひそめた。

「どういうことですか?」
「パソコンの管理をしてる総務の田澤が口を割った。正に頼まれておまえのパスワードを教えたってな」

伯父が忌々しげに言った。その怒りはここにはいない正さんに向けられているのがはっきりわかる。

「菊乃が辞めてから、噂を聞いた社員やパートに言われた。菊乃は会社に不利益になるようなことはしない、と。逆に正の素行について、年配の社員たちからは苦言を呈された」
「銀座で羽振りよく遊んでいるなんて信じたくなかったけど、確かにあの子が出ずっぱりで家に寄り付かないのは母親の私が一番よく知ってるからね」

伯母は泣きそうな顔をしている。
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