エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「俺ひとり買わなくなっても大丈夫なくらい繁盛していますよ」
そこの店長だった女性を口説いて妻にしたとは言わないでおく。
菊乃の経歴は外務省で調べられ、その上で問題ないとイタリア渡航のゴーサインが出た。伴侶であっても、仕事で国外に行くのだから、こういったところは厳しく審査される。
「彼女ももうイタリア語を勉強しているのか」
「はい、語学教室の斡旋がきたので、そちらに申し込みました。五月の頭から通っています。英語は短大でやっていたようですね」
「へえ、英語だけでもできるのは助かるな。いい奥さんを見つけたじゃないか」
条件で選んだわけではない。しかし、ここで妻への愛を披露しても仕方ない。
「向こうでの仕事の詳細は奥さんに話したのか?」
「いえ、言わなくてもいいことですし」
「そうだな。その方がいい」
表向き、文化振興と交流のために在イタリア日本国大使館に行くことになっている俺だ。実は政治的な情報収集をしているなどと言う必要はない。
なにしろ、見方を変えればスパイ活動だ。滅多にないとは思うが、現地で危険な目に遭わないとも限らない。得た情報によっては、拘束されるということもないわけではない。
日本がODAをしている親日の国とはいえ、海外では何が起こってもおかしくはなく、情報漏洩は防ぐべきだし、そのためには彼女に意識させない方がいいだろう。
「偏見かもしれないが、女性は地中海の気候も風土も食事も好きだろう。歴史ある建造物も多いし、三年あれば観光地もめぐり放題。奥さんには楽しいイメージだけさせておくんだな」
「そうするつもりです。語学留学のような気分でついてきてくれれば充分ですよ」
真野室長が外出していき、俺は弁当の続きに戻った。
そこの店長だった女性を口説いて妻にしたとは言わないでおく。
菊乃の経歴は外務省で調べられ、その上で問題ないとイタリア渡航のゴーサインが出た。伴侶であっても、仕事で国外に行くのだから、こういったところは厳しく審査される。
「彼女ももうイタリア語を勉強しているのか」
「はい、語学教室の斡旋がきたので、そちらに申し込みました。五月の頭から通っています。英語は短大でやっていたようですね」
「へえ、英語だけでもできるのは助かるな。いい奥さんを見つけたじゃないか」
条件で選んだわけではない。しかし、ここで妻への愛を披露しても仕方ない。
「向こうでの仕事の詳細は奥さんに話したのか?」
「いえ、言わなくてもいいことですし」
「そうだな。その方がいい」
表向き、文化振興と交流のために在イタリア日本国大使館に行くことになっている俺だ。実は政治的な情報収集をしているなどと言う必要はない。
なにしろ、見方を変えればスパイ活動だ。滅多にないとは思うが、現地で危険な目に遭わないとも限らない。得た情報によっては、拘束されるということもないわけではない。
日本がODAをしている親日の国とはいえ、海外では何が起こってもおかしくはなく、情報漏洩は防ぐべきだし、そのためには彼女に意識させない方がいいだろう。
「偏見かもしれないが、女性は地中海の気候も風土も食事も好きだろう。歴史ある建造物も多いし、三年あれば観光地もめぐり放題。奥さんには楽しいイメージだけさせておくんだな」
「そうするつもりです。語学留学のような気分でついてきてくれれば充分ですよ」
真野室長が外出していき、俺は弁当の続きに戻った。