エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「おかげ様でこんな堅物でもいいと言ってくれる素敵な女性が見つかりました」
『はは、素直に祝福するよ。おめでとさん。ローマはいい街だが、旅慣れない女性には危険も多い。まして、おまえの仕事のことも含めて、不安を感じさせないように守ってやれよ』
「ご心配ありがとうございます。妻には心配をかけないようにします。そちらに行ったらあらためて妻を紹介させてください」
『おう、楽しみに待ってるぞ』
堂島さんと電話を切り、俺は考えた。菊乃には何ひとつ苦労も心配も不安もない日々を送ってもらおう。異国での幸せな三年間。
彼女がもし俺を選ばなかったとしても、若くて未来のある想い人に素晴らしい時間をプレゼントできたなら、俺の気持ちも報われる気がする。
帰り道は日比谷公園の近くを通るのが常だった。
夕暮れ時の公園は涼しい風が吹き、桜をはじめとした樹木の新緑が揺れる。いい時期だ。
温暖化なのか、日中は夏のように暑いが夕方になるとすうっと冷えた風を感じられる。
まもなく菊乃の二十五歳の誕生日。菊乃は美しい季節に生まれたなと思う。
誕生日はどうしようか。ケーキを買って、ふたりで心地よい風を浴びながら夜の公園を散歩でもしようか。プレゼントはどんなものがいいだろう。
角を曲がり、マンションが見えた時点で異変に気づいた。菊乃の姿が、マンション前の路上にある。誰かと向かい合って話しているようだ。
『はは、素直に祝福するよ。おめでとさん。ローマはいい街だが、旅慣れない女性には危険も多い。まして、おまえの仕事のことも含めて、不安を感じさせないように守ってやれよ』
「ご心配ありがとうございます。妻には心配をかけないようにします。そちらに行ったらあらためて妻を紹介させてください」
『おう、楽しみに待ってるぞ』
堂島さんと電話を切り、俺は考えた。菊乃には何ひとつ苦労も心配も不安もない日々を送ってもらおう。異国での幸せな三年間。
彼女がもし俺を選ばなかったとしても、若くて未来のある想い人に素晴らしい時間をプレゼントできたなら、俺の気持ちも報われる気がする。
帰り道は日比谷公園の近くを通るのが常だった。
夕暮れ時の公園は涼しい風が吹き、桜をはじめとした樹木の新緑が揺れる。いい時期だ。
温暖化なのか、日中は夏のように暑いが夕方になるとすうっと冷えた風を感じられる。
まもなく菊乃の二十五歳の誕生日。菊乃は美しい季節に生まれたなと思う。
誕生日はどうしようか。ケーキを買って、ふたりで心地よい風を浴びながら夜の公園を散歩でもしようか。プレゼントはどんなものがいいだろう。
角を曲がり、マンションが見えた時点で異変に気づいた。菊乃の姿が、マンション前の路上にある。誰かと向かい合って話しているようだ。