エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
その背格好から、すぐに誰だか判別がついた。
丸中正だ。菊乃の従兄で、彼女を陥れた男だ。
菊乃に悪意を向けた時点で、この男については調べてある。接近してきたらすぐにわかるように顔写真も目を通してある。ツテはいくらでもあるのだ。
しかし、こんなふうに菊乃と俺の住むマンションに突撃をしてくるとは思わなかった。
「菊乃!」
俺は声を張り上げ、駆け出した。周囲の人が何事かとこちらを見るが気にしている場合ではない。
猛然と走ってくる俺に、丸中正の方が先に気づいた。たじろいだ顔をし、じりと下がる。
俺は菊乃前に立ちはだかるようにして、丸中正と対峙した。
「妻になんの用ですか?」
「博已さん!」
菊乃が驚きと安堵の声音で俺を呼んだ。大丈夫と言う代わりに、彼女を背中に庇う。
「丸中正さん、あなたが菊乃にしたことは知っています。どうして近づいてきたんですか? 謝罪には見えませんが」
「外務省のエリートをひっかけたとは聞いていたけど、本当だったんだなあ。菊乃はたかるのが上手い」
俺の登場に明らかに狼狽しているくせに、丸中正は嘲笑を浮かべた。俺の後ろの菊乃に向かって言う。
「おまえの実家、貧乏だもんな。短大時代からずーっとうちにたかりやがって。卑しいクソ女め」
「菊乃、聞かなくていい」
「うちの親父とお袋に取り入って、社員を手玉に取って、マルナカ弁当を乗っ取ろうと思ってたんだろ。マルナカ弁当から追い出されたら、今度は金持ちを捕まえて結婚かよ。つくづく下劣だな」
丸中正だ。菊乃の従兄で、彼女を陥れた男だ。
菊乃に悪意を向けた時点で、この男については調べてある。接近してきたらすぐにわかるように顔写真も目を通してある。ツテはいくらでもあるのだ。
しかし、こんなふうに菊乃と俺の住むマンションに突撃をしてくるとは思わなかった。
「菊乃!」
俺は声を張り上げ、駆け出した。周囲の人が何事かとこちらを見るが気にしている場合ではない。
猛然と走ってくる俺に、丸中正の方が先に気づいた。たじろいだ顔をし、じりと下がる。
俺は菊乃前に立ちはだかるようにして、丸中正と対峙した。
「妻になんの用ですか?」
「博已さん!」
菊乃が驚きと安堵の声音で俺を呼んだ。大丈夫と言う代わりに、彼女を背中に庇う。
「丸中正さん、あなたが菊乃にしたことは知っています。どうして近づいてきたんですか? 謝罪には見えませんが」
「外務省のエリートをひっかけたとは聞いていたけど、本当だったんだなあ。菊乃はたかるのが上手い」
俺の登場に明らかに狼狽しているくせに、丸中正は嘲笑を浮かべた。俺の後ろの菊乃に向かって言う。
「おまえの実家、貧乏だもんな。短大時代からずーっとうちにたかりやがって。卑しいクソ女め」
「菊乃、聞かなくていい」
「うちの親父とお袋に取り入って、社員を手玉に取って、マルナカ弁当を乗っ取ろうと思ってたんだろ。マルナカ弁当から追い出されたら、今度は金持ちを捕まえて結婚かよ。つくづく下劣だな」