エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
今回のイベント担当者との打ち合わせでヴァローリの名はすぐに出てきた。どうやらイベントで使用するホールの建設にひと役買ったのがヴァローリらしく、文化事業にはどこにでも自分が顔役とばかりに出てくるそうだ。イベントの前に挨拶の会食を設けたいと提案すると、担当者は乗ってきた。これはターゲットにぐっと近づくいい機会になりそうだ。

「日本の大使館職員に気さくに話してくれる男じゃないぞ」

この日、俺は堂島さんと近くのバールで夕食を取っていた。
堂島さんのよく行くバールは地元民が使う店で、観光客らしき姿がほとんどない。日本語で会話していても、周囲は誰も意味がわからないだろう。一日中、カフェでもアルコールでも飲める店なので、昼間に何度かスタンドでエスプレッソを飲んだことがあるが、テーブル席につくのは初めてだ。

「そうでしょうね。友好的な関係を築きたいわけではないので、いいですよ」

俺はビールグラスを傾ける。

「どこの世界にもいる目立つ場には顔を出したがるお偉いさんのようです」
「あー、いるな。そういうおっさん」
「扱いは心得ているつもりです」

俺の言葉に堂島さんが笑う。

「媚を売っておべっか使って、機嫌よく過ごしてもらうってヤツか」
「まあ、ざっくり言うとそうですね。それに本人よりもその周囲と仲良くしておいた方が情報は入ってきますので。目的は議員の周辺です」
「秘書は口が堅いぞ」
「そんなに直接的にはいきませんよ」
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