エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
堂島さんと別れて帰宅すると、菊乃はパソコンで実家の両親へメールを打っていた。時差があるので、電話よりメールが便利のようだ。なお、郵便の事情が悪いため、彼女の両親からの手紙が届かなかったこともある。インターネットは日本との通信にはなくてはならないものだ。
「菊乃、ご両親は元気か?」
「ええ、相変わらず元気です。伯父のところも、変わりないようですよ」
ふと、画面が見えてしまった。菊乃宛のメッセージには『結婚式』の文字が見える。
「菊乃、すまない。見えてしまった。ご両親は結婚式をした方がいいと思っていたりするのかな」
菊乃は焦ってメール画面を閉じ、それから困り顔で俺を見つめてきた。
「あは、なんか、『イタリアはおしゃれな教会やリゾート地があるんだから、イタリアにいるうちに結婚式を挙げたほうがいい』とか言うんですよ。私たちの事情を知らないから好き勝手言ってるんです」
「それは、ご両親もイタリアに来たいという意味だろうか」
「いえいえ、私たちが式を挙げるならそれでいいから、写真だけでも送ってほしいって。娘のウエディングドレス姿だから~とか。親の我儘だとは本人たちも言ってます」
俺は少なからずショックだった。
結婚式という大事なイベントをスルーしたのは、契約婚でそこまでしてしまっては、菊乃が引いてしまうのではないかと思ったのもある。
しかし、考えてみれば親は子の晴れ姿を見たいものだ。うちの両親などは結婚自体を諦めていた三十代半ばの息子の結婚式などしてもしなくてもいいという考えだが、菊乃の両親はひとり娘の幸せな花嫁姿を見たいのだ。当然のことなのに、義両親の意見を一切聞かなかったのは婿としてよくなかった。
「両親は、契約婚だとは知らないでしょう。だから、気にしないでくださいね」
「菊乃はどうだ?」
俺はあふれそうになる想いと言葉を押さえ、低い声で尋ねた。
「菊乃、ご両親は元気か?」
「ええ、相変わらず元気です。伯父のところも、変わりないようですよ」
ふと、画面が見えてしまった。菊乃宛のメッセージには『結婚式』の文字が見える。
「菊乃、すまない。見えてしまった。ご両親は結婚式をした方がいいと思っていたりするのかな」
菊乃は焦ってメール画面を閉じ、それから困り顔で俺を見つめてきた。
「あは、なんか、『イタリアはおしゃれな教会やリゾート地があるんだから、イタリアにいるうちに結婚式を挙げたほうがいい』とか言うんですよ。私たちの事情を知らないから好き勝手言ってるんです」
「それは、ご両親もイタリアに来たいという意味だろうか」
「いえいえ、私たちが式を挙げるならそれでいいから、写真だけでも送ってほしいって。娘のウエディングドレス姿だから~とか。親の我儘だとは本人たちも言ってます」
俺は少なからずショックだった。
結婚式という大事なイベントをスルーしたのは、契約婚でそこまでしてしまっては、菊乃が引いてしまうのではないかと思ったのもある。
しかし、考えてみれば親は子の晴れ姿を見たいものだ。うちの両親などは結婚自体を諦めていた三十代半ばの息子の結婚式などしてもしなくてもいいという考えだが、菊乃の両親はひとり娘の幸せな花嫁姿を見たいのだ。当然のことなのに、義両親の意見を一切聞かなかったのは婿としてよくなかった。
「両親は、契約婚だとは知らないでしょう。だから、気にしないでくださいね」
「菊乃はどうだ?」
俺はあふれそうになる想いと言葉を押さえ、低い声で尋ねた。