エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「菊乃はウエディングドレスに興味はあるか? 着物でもいい。結婚式というものをしてみたいと思うか?」
「それは……人並に興味はありますよ。でも、お金がかかることですし、契約婚の私たちにはそういう思い出があっても……いずれ離れるわけですし」

離れなければいい。俺とずっと夫婦として暮らせばいい。
そんな言葉が口をついて出そうになった。駄目だ。ここまでじっと我慢して、菊乃の信頼を得てきたのだ。がっついて下心を見せて、菊乃に嫌われたくない。

「実は俺の両親も結婚式はしてほしいと言っていたことがある」

完全に嘘ではない。ただそれは、俺が二十代の頃「いつか誰かと結婚するなら結婚式は見たい」とちらりと言っただけの話だ。現在の両親はもうそんなことは思っていない。

「ただ、菊乃にとってウエディングドレスは特別なものだろう。俺と……その契約が終わった後に、誰かと着ることもあるだろうし……」
「わ、私はたぶん……たぶんですけど、博已さんとの結婚が最初で最後の結婚ですよ」

菊乃の言葉に心臓が跳ねた。いや、期待をするな。それは俺との生活を続けたいという意味ではない。

「あまり恋愛に興味もあるほうじゃないですし。ご存じの通り、男性経験もないですし。博已さんとの契約が終わって、誰か次の相手を探して……なんて考えないと思います。だから、両親にウエディングドレスを見せるにはいい機会だとは思うんですが……博已さんのご両親もなんですか?」
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