敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜


 オーレリアは四歳の時に神の恵みが発現した。発現したがどうかは王国の神殿に伝わる巨大水晶へ触れてみて、それが光るかどうかで判断する。同時に頭の中にどんな神の恵みが宿ったのか神託を受ける。

 四歳の誕生日に水晶へ触れてみたら、目映い光を放った。そして下った神託は『運命の相手が見える』という変わったものだった。

 左手の親指と人差し指でわっかを作り、そこから対象者を覗き込むと左手の小指に結ばれている赤い糸が見える。その赤い糸に意識を集中させると、オーレリアの頭の中に運命の相手の名前が浮かび上がるのだ。


 神の恵みが宿ったと分かってオーレリアは大いに喜んだ。

 ――きっとこれで王族の一員に、家族の一員になれる!

 そう信じて疑わなかったオーレリアは宿った力のことをすぐにルパ王へ話した。

 すると隣で話を聞いていた王妃から「私の妹の運命の相手を見てみなさい」と言われた。
 王妃の妹は彼女とかなり歳が離れていたので社交界デビューしたばかり。これから素敵な殿方を見つけて結婚しなくてはいけない。

 オーレリアは王妃の妹をお城に呼んでもらい運命の相手が誰なのか確認した。
 そうして頭の中に浮かび上がった人物の名前を口にする。

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