敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜
第6話 第三皇子と幼馴染み1


 ◇

 一ヶ月後、十八歳となったパーシヴァルが休日を使って宮殿に戻ってきた。

 オーレリアは側近と共に庭園を散歩しているパーシヴァルを発見すると遠巻きからその様子を眺めていた。容姿についてはフレディから前情報を得ていたのですぐに分かった。


 パーシヴァルは癖のあるふわふわな金色の髪をしていて、身体つきはトラヴィスやクラウスと比べて小柄だ。朱色の瞳は大きく、全体的にあどけなさが残る、可愛らしい容姿をしている。

 オーレリアはパーシヴァルの左手の小指に「どうか赤い糸がついていますように」と祈りながら指でわっかを作って覗き込む。と、そこには薄らとだが赤い糸がついていた。

 まだ成人したばかりで赤い糸が薄いのだろうか。とはいえ頼りないそれにオーレリアは心配になった。


 パーシヴァルが小鳥のさえずりに反応してよそ見をしながら歩いていると、生け垣の間からすっと人影が現れてその人の肩と彼の肩がぶつかった。

 オーレリアは服装からほんの一瞬、ぶつかった相手が騎士だと思った。しかし、目を細めて凝視するとそれは騎士服に身を包んだ令嬢だった。

 上背があるその令嬢は凜とした顔立ちで切れ長の涼しげな目をしていて、髪は邪魔にならないよう高い位置で結んでいる。
 パーシヴァルはぶつかった肩を押さえながら令嬢に向かって口を開いた。

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