敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜
そうだ。神の恵みの力を持つ妙齢の王女は何もコーレリアだけではない。
名案だとばかりにルパ王もコーレリアも口端を吊り上げる。
「なるほど。何の役にも立たない神の恵みを持つアレを帝国へ嫁がせれば厄介払いもできて一石二鳥というわけだな」
早速ルパ王は侍従長を呼ぶと、もう一人の王女を帝国へ嫁がせるよう手配した。
ルパ王国には、コーレリアとは別にもう一人王女が存在する。
――それこそが王女とは名ばかりの忘れ去られた存在、オーレリアだった。
◇
一ヶ月に及ぶ航海と十数日の馬車移動を経て、オーレリアはハルディオ帝国の皇帝が暮らす宮殿に到着した。
宮殿に足を踏み入れるとその足で謁見の間に通される。
敗戦国の王女なので長旅で疲れていようと気遣いなど不要だと判断されたようだ。これがコーレリアだったら酷い待遇だと激怒していただろう。
(それとも帝国側は私が名ばかりの王女であることに気づいたのかしら? だから厚遇する必要もないと判断されたのかも……)