敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜
「なあ、イメルダ。お互いにいがみ合うのはもうやめないか? 腹を割って話したんだ。俺は前みたいにイメルダと他愛もない話がしたい」
するとイメルダが泣き出しそうな表情で首を縦に振る。
「私も。あの頃みたいに殿下と鳥の話がしたい」
二人はどちらからともなく互いの指と指を絡めて手を繋ぐと笑いあう。
(上手くいったみたいで良かった……!)
茂みに隠れて成り行きを見守っていたオーレリアは二人の運命の赤い糸を確認して安堵する。
彩鳥は虹色の羽を持つ鳥でルパ王国周辺に生息している。王国では虹色鳥という呼び名で親しまれているため、帝国とは呼び名が異なっていた。
彩鳥は水が澄んでいる綺麗な場所に巣を作って繁殖期を迎える。大陸での生息はあまり確認されていないが、時折その姿を目撃されることがあった。
オーレリアは二人が宮殿裏の森にある泉へ足を運んでから仲が悪くなったことと、彩鳥の話をしていたことから仲直りのきっかけが彩鳥にあると考えた。
そしてその予想は的中していた。