敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜


 三人の皇子に運命の相手が見つかった。
 皇族からすればオーレリアは用済みだ。

 いつまでも中途半端な立場でいればルパ王国の時のように存在すら忘れ去られてしまうかもしれない。ならば足場を固めるためにも側妃になることが最善の策だといえる。

 側妃として皇帝に仕えながら、トラヴィスを支えられるならそちらの方が断然幸せに違いない。
 そう結論づけてオーレリアは覚悟を決めたのだ。
 真摯な眼差しを向けていると、皇帝が目を剥いた。

「待て。話がまったく見えぬ。一体どういうことだね?」
 皇帝の困惑の色を含む声にオーレリアは小首を傾げる。
「私が帝国に連れて来られた本来の目的は陛下の側妃になることですよね?」

 皇子たちの嫁探しに目的がすり替わっていたが当初の目的はルパ王国とハルディオ帝国の和平のための政略結婚だったはずだ。
 すると皇帝が素っ頓狂な声を上げた。

「な、何がどうなっているのだ? 余は其方を娶る気なんて毛頭ないぞ」
「え? そんな……なら私が嫁ぐ話は何だったんですか?」
「どうやら行き違いがあったようですね」
 そう言って話に割って入ってきたのは後ろで待機していたトラヴィスだった。

「トラヴィスよ、王女は何か誤解しているらしい。きちんとこちらの要求を話すのだ」
 トラヴィスは頷くとオーレリアに改めて説明する。

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