敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜
第2話 第一皇子と王女の過去
前情報で得た皇帝とは随分差があると思ったオーレリアは、ぱちぱちと瞬きをしてからこてんと首を傾げる。
「……あなた様は?」
「私は第一皇子のトラヴィス・ユンス・ハルディオです」
第一皇子のトラヴィスは物語から出てきた皇子様のようなきらきらしい雰囲気に包まれていた。
オーレリアは教師から教わったハルディオ皇族の内容を頭の隅で思い出す。
皇帝には三人の皇子と三人の皇女がいて、トラヴィスが生まれるまで皇女ばかりが続いた。三人の皇女は臣下に嫁いでおり、もうこの宮殿では暮らしていない。
待望の皇子であるトラヴィスは現在二十歳で、オーレリアよりも五つ上。帝国の皇子の中で最も人気があり、老若男女問わず親しまれている。
――つまり彼は義理の息子になる相手だ。
合点がいったオーレリアはすぐに頭を下げた。