敵国へ嫁がされた身代わり王女は運命の赤い糸を紡ぐ〜皇子様の嫁探しをさせられているけどそれ以外は用済みのようです〜


 トラヴィスはオーレリアの向かいにあるソファに座って、お茶を一口飲んだ。

「疲れているみたいだから前置きは抜きにして今後のことを話すね。ルパ王国のあなたは神から恵みが与えられている。……私はあなたの力を是非とも借りたいと思っているんだ」

 トラヴィスの言葉を受けてオーレリアは目を見張った。まさかハルディオ帝国の皇子に神の恵みを求められるだなんて想像もしていなかったからだ。
 反応が遅れたオーレリアは消え入るような声で反論した。

「私の神の恵みはなんの役にも立ちません」
 だって王妃とコーレリアから何度も『役立たず』や『紛いもの』だと言い続けられてきたのだから……。

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