きっともう君には会えない



私はこうなる事を予想して

前もって作っていた笑顔を見せる。



「葉津乃…大丈夫だよ。たいしたことじゃないし」


「何言ってんの!!
こんなのっ……たいしたことだよ。酷いよ。」




葉津乃が目を潤ませて言う。

なんとなく、申し訳なくなってしまって




「…葉津乃〜っ、大丈夫だよ。私は大丈夫!!」




私が抱きしめてそんなこと言うと




「天野の大丈夫は全然大丈夫じゃないよっ」




すぐ葉津乃も手を回してくれて

そんなふうに暖かい言葉が帰ってくる。




「……本当に大丈夫だよ。心配しないで。」




私は、最期までは諦めないから。

途中で折れたり、ぐじけたりもしない。
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