― 伝わりますか ―
[三]
さて、話を戻すとしよう。
その後そうしている間に十日ほどが経ってしまい、今になって彼の考えは揺らぎ始めていた。
「月葉……」
「……?」
茶を差し出しながら小首を傾げる。月葉にとってはそれが疑問表現なのだ。
──果たして、戦うことが月葉にとって望ましいことであろうか。
しかし、今更のことであった。
あれから数人の兵士が館を出ていったが、それらは全て雑兵の内で、旧知の家来は──もちろんあの側近でさえも居座っているのである。
──そろそろ話さなければなるまい。
悠仁采は人払いをし、月葉の傍に寄った。
彼女は茶を持ったまま依然として、彼が何を言いたいのか分からぬように佇んでいる。
「織田と水沢が戦っていることはお前も知っておろうな」
突然の彼の言葉に、月葉は碗を落とした。茶水が広がり畳の中に染み込み、薄い緑の汚点を描いた。
「お前は水沢に戻るか、それとも織田に嫁ぐか……どちらかを選ばねばなるまい」
茶のことは一切考えずに、悠仁采は冷静に話をした。しかし飽くまでも表情のみである。
その後そうしている間に十日ほどが経ってしまい、今になって彼の考えは揺らぎ始めていた。
「月葉……」
「……?」
茶を差し出しながら小首を傾げる。月葉にとってはそれが疑問表現なのだ。
──果たして、戦うことが月葉にとって望ましいことであろうか。
しかし、今更のことであった。
あれから数人の兵士が館を出ていったが、それらは全て雑兵の内で、旧知の家来は──もちろんあの側近でさえも居座っているのである。
──そろそろ話さなければなるまい。
悠仁采は人払いをし、月葉の傍に寄った。
彼女は茶を持ったまま依然として、彼が何を言いたいのか分からぬように佇んでいる。
「織田と水沢が戦っていることはお前も知っておろうな」
突然の彼の言葉に、月葉は碗を落とした。茶水が広がり畳の中に染み込み、薄い緑の汚点を描いた。
「お前は水沢に戻るか、それとも織田に嫁ぐか……どちらかを選ばねばなるまい」
茶のことは一切考えずに、悠仁采は冷静に話をした。しかし飽くまでも表情のみである。