― 伝わりますか ―
◇密事 [三]
「おじじ様……」
「そなたも気付いておろう……わしは悪人だ。殺めた数など、一人や二人増えたところで、そう変わらぬ」
悠仁采は少々嗤い、秋から離れた。未だ傷が痛むのだろう。息遣いは変わらない。
「私のために何ということを……おじじ様っ、どうぞお逃げください! まもなく兄も参ります。此処は私が襲われ、仕方なく成したことに致しますから……おじじ様っ」
草叢に腰を下ろして深く息を吐き、呼吸を整えようと努める悠仁采に、秋は必死の形相で縋った。
「来たか」
落ち着きを取り戻した悠仁采は、安堵したように呟き、前方を見据える。彼に寄り添って泣き崩れていた秋は、その視線の先へと顔を向けた。秋の艶やかな黒髪は、いつの間にか悠仁采の骨細った指で、優しく撫でられていた。
「ご無事でしたか……姫。こっ……これは……?」
同じく秋の叫びに急ぎ戻った右京も、この惨状にさすがに絶句した。秋は涙顔のまま右京に強く抱きついて、嗚咽をこらえながら訳を話した。
「そなたも気付いておろう……わしは悪人だ。殺めた数など、一人や二人増えたところで、そう変わらぬ」
悠仁采は少々嗤い、秋から離れた。未だ傷が痛むのだろう。息遣いは変わらない。
「私のために何ということを……おじじ様っ、どうぞお逃げください! まもなく兄も参ります。此処は私が襲われ、仕方なく成したことに致しますから……おじじ様っ」
草叢に腰を下ろして深く息を吐き、呼吸を整えようと努める悠仁采に、秋は必死の形相で縋った。
「来たか」
落ち着きを取り戻した悠仁采は、安堵したように呟き、前方を見据える。彼に寄り添って泣き崩れていた秋は、その視線の先へと顔を向けた。秋の艶やかな黒髪は、いつの間にか悠仁采の骨細った指で、優しく撫でられていた。
「ご無事でしたか……姫。こっ……これは……?」
同じく秋の叫びに急ぎ戻った右京も、この惨状にさすがに絶句した。秋は涙顔のまま右京に強く抱きついて、嗚咽をこらえながら訳を話した。