君の生き血を僕に吸わせて?
そもそもヴァンパイア、なんて
実際に存在する訳……ない。ないない。
絶対ない。

頭の中ではめちゃくちゃ否定するが
だけど……正直今は

…分からない。

そんな細かい事に頭が回らない。
こめかみを抑えて、もう一度
彼の顔を見ようと顔を上げたらもうそこに……

彼はいなかった。

だけどもしかしたら彼は本当に、
ヴァンパイアなのかもしれない、と
家に帰って、洗面所の鏡で首筋を見て、

思った。

赤い点が2つ。綺麗に。くっきり。
まるでキスマのように。

そこにあったから。
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