君の生き血を僕に吸わせて?


「…」

だけどナンパ、ってされると
ちょっと嬉しいんだよな。

自分は可愛い、って認められた気持ちになる。
気が付いたら私の足は影並通りに向いていた。

きっと、失恋でポッカリ空いた穴を、
無意識のうちに
塞ごうとしていたのかもしれない。

「ねぇねぇ」

数分。歩いていたら早速声を掛けられた。

一通りの少ない路地裏に入った時だった。
振り返ると、まるでハロウィンの仮装をしているような格好の男が1人、立っていた。

4月だというのに。
季節外れの仮装もいい所だ。
白いシャツに黒マント。
まるで……

ヴァンパイアみたいな格好だ……。
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