月だけが知っている
私は普通の大学生
普通に大学生に行き
アパートに帰り
それなりに暮らしていた

それは全て幻だった

私は2年前に事故にあって記憶を失った
キャンプ中の事故だった
崖から落ちたのだ
なぜ落ちたかは分からなかった
その時から私は記憶を失った

私には恋人がいたそうだ
今ではその恋人がどんな人で、どんな経緯で交際に発展したのか、記念日、顔、名前
全て忘れてしまっていた

今私がキャンプをしていること
それはリハビリの一環なのだそうだ
なにか思い出してくれればいい
そう周りの人間が思い
私をキャンプへと導いた

そして隣にいる男
悠真
この人こそが私の恋人だ
「貴方と初めて会った時、僕は一目惚れしました。そして思わず口に出してしまった
月が綺麗ですねっと」
貴方は笑いながら言ったのです
「私の事からかってます?
それともその言葉の意味を分からずに言ってる?」
「いいえ、僕はちゃんと理解して言っています。貴方に恋をしました」
私は笑っていたそうだ。
そしてそのまま悠真と付き合って
2人で思い出を築き上げていったらしい
何も覚えてない
「ゆっくりで大丈夫
僕はいつまでも待ってます」
彼は言った
どうやら私には幻想が見えてしまう時があるそうだ
前の生活をしている私の幻想
実際は病院で入院をしていて
毎日リハビリを受けている

彼が主治医に提案したそうだ

「彼女と出会った頃を再現させてください。
もしかしたら何か思い出すかも知れません」

なるほど、だから、彼は優しく微笑んだ
「もう休みましょ」
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop