彼氏の隠し事を知った時、助けてくれたのは私の事が嫌いなはずのクラスメイトでした。
「あのー、オニーサンたちこの子俺のなんですけど? 手、出さないでもらえますか?」
優しい、まるで王子様みたいな声がする。
来人なわけない。
でも、聞きなじみのあるその声は座り込む私の前に立って、男の人たちから守ってくれている。
「なんだよ。彼氏に振られたわけじゃねーのか。」
「まぁいいじゃん。次行こうぜー。いい女なんていっぱいいるだろ?」
2人組だったらしいその人たちは特に騒ぎを起こすこともなくすぐに私たちの前からいなくなった。
それを見届けたあと、目の前の人影はくるりとこちらを向く。
「はー。まじで焦った。なんで笹城1人でこんなとこいるんだよ。」
私同様しゃがみこんだ彼は思った通りの人物だった。
「片、木くん? どうして、片木くんが…」
知ってる人に会うのを避けてここに来たのに来人の次に会いたくなかった人に出会ってしまった。