黒蝶Ⅱ -ふたりの総長に奪われて-
淡々としていて、良くも悪くも俺らに興味が無くて。
だからこそまつりだって執着して彼女をそばに置こうとしてるけど、そんなんじゃなくて、もっと。
「快斗は?」
「あー? 俺は中学ん時のダチと約束あっけど」
「そうか。
咲耶……も、その様子だと稜介と一緒に行くんだな」
「そだよー。ふたりとも呼ばれてるんだー。
すぐりんこの後空いてないのー?」
「俺? 別に予定はないけど」
っていうか俺以外予定あんのかよ。
それでも予定までに時間があればいつも倉庫に集まってんのが俺ららしいっていうか、なんだかんだ仲良いっつうか。
「じゃあ、雫を家まで送り届けてくれ。
目ぇ離すと逃げるから、確実に送り届けろよ」
「……わたしのことなんだと思ってるのよ」
「別に良いけど~。
デートしてたぐらいなんだから、お前が送りゃいいでしょうに」
まあ、出来るなら自分で送ってんだろうけど。
無理であることを分かっていながらそう口に出せば、まつりは綺麗な顔をわかりやすく顰めた。
「……親に呼ばれてんだよ」
「んじゃ、しゃあねえな。
雫ちゃん、俺と一緒に家まで帰ろっか」
俺はまつりのことは嫌いじゃないし、ダチとしては好きだし、仲間として尊敬もしてる。
でも雫ちゃんが姫になってから、明らかに俺とまつりの間には亀裂が入ってる。