【短編】会いたいと切に願う
一歩外に出れば、身に刺さるような冷気と顔目がけてやってくる大粒の雪。
町じゅうが目が眩しくなるほどの白い衣裳を纏い、まるで別世界に来ているようだった。
車も通らなければ、人の姿さえ見えない。
残されていく自分だけの足跡。
それさえもすぐに消えていく。
フフフッ……楽しいかも!
「おでん買いにいこ〜」
やっぱり寒い日はおでんよね!
アイスなんてもっての他!
「雪って楽しいなぁ〜」
誰もいないのをいいことにルンルン気分でスキップをしていた。
深く積もった雪に埋もれながら、下手なスキップの見本のようにゆっくり進んでいく。
「クスクスッ。やっぱりひいらぎって面白いなぁ〜」
へっ?
誰もいないと思っていた矢先、後ろから声が聞こえてきて振り返ってみると、
「あーっ!! この前の!!」
「こんにちは」
「こんにちは〜、じゃなくって」
指差した先には、三日前に出会った彼の姿があった。
あの日よりも白いメッシュが増えてる?
金髪だった髪は白髪に近づいていて、まるでこの雪のように目を奪われそうだった。
「こんな日に外出るなんて変わってるな〜」
「何で? 楽しいじゃん」
キョトンとなる私を見て、さらに笑いだす彼。
何なのよー、いっつも私のこと笑ってさ。
自分も外出てるじゃん。
あっ、そうだ、次に会えたら絶対聞こうって思ってたんだ!
悩んで夜も寝れなかったんだから……って言うのは冗談だけど。
「この前の答えなんなのよ」
「……ん、何が?」
「だからー、問題の答え!」
出すだけ出して、答えも言わずに去っていったんだから。
普段は何事も気にならない私が、気になってあなたのこと考えてたのよ。