「一緒に虹を、見てみたい」
*
「一応、ここが私達が住んでいる家なの」
やがて高速を降り、一般車道を暫く進み、閑静な住宅街に入ってすぐ、車は止められた。
立派な一軒家、私は傘を差したまま大きな家を見上げる。
「ここに二人は寂しいのよ。だから、希花ちゃんが来てくれて、本当に嬉しいわ」
恵口さんは養護施設の園長先生の知り合いで、昔からたまにボランティアで来てくれていた。
そこで、仲間の輪には入ろうとしない私を見て、何かと気にかけてくれていたのだ。
もしかしたら、園長先生は恵口さんに、私の両親の交通事故のことを話していたのかもしれない。
でも、こんな私を、受け入れようとしてくれている。
それは素直に有難かったし、だからこそ私は、恵口さんの家族になれるように、心を開けるよう、努力したい……とは思っているけれど。