「一緒に虹を、見てみたい」







 夕食と片付けを終えると、ガレージを開け、多少湿気はあるが花火に火をつける。

 その瞬間、シャーッと光を放ち、秋口から再び夏を感じさせる。

 八月半ばにある花火大会へは、塩見君に誘われたのだが、ちょうど部活の合宿に重なって行けなかったため、私も花火は今年初めて。

「綺麗だね」

 白い光を見ながら、嶋原君は穏やかに口角を上げている。

「嶋原君は、花火はいつぶりなの?」

「花火大会には行けなくて、家族とこうやってしたのはいつぶりだろう。友達とした記憶はないから、分からない」

 あぁ、そうか。

 悪いことを聞いてしまった気がして、それ以上は何も言わない。

「また来年も、こうやって花火できたらいいなぁ」

「できたらいいな、じゃなくて、しよう、だろ」

「煩いなぁ、一々指摘しないで」

 光に照らされる石黒さんと塩見君のいつものノリに、私も笑顔を零す。

「そうだね、またしよう」





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