「一緒に虹を、見てみたい」






 言って、笑う嶋原君をじっと見ていると、目が合ってドキッとする。

 すぐに逸らして、次の花火に火を貰う。

 キラキラの花火の光を四人で見ている、この一瞬を、私はずっと忘れない。 

 嶋原君も、ずっと覚えてくれていたらいいのにな……。

 そして、最後の線香花火の火がポタリ落ちると、辺りは真っ暗闇になって、外の雨の音が一気に目立った。

 一瞬忘れそうになったが、ここは雨の街。

 外はザーザー雨が降っている。

「もう終わってしまったな。片付けしようぜ。恵口さん、古新聞紙って家にある?」

「うん、昨日の分があるよ。取って来るね」

 私は雨の降るガレージを出て、早足で玄関へ向かう。

 しかし、後ろから誰かが追って来て、振り返ろうとするとグッと手首を握られた。

 そこには塩見君が立っていて、雨の中、私達は二人立ち止まる。






< 103 / 275 >

この作品をシェア

pagetop