「一緒に虹を、見てみたい」
「塩見君?」
「俺、恵口さんのことが好き」
開口一番、改まった言葉を言われ、返し方に困っていると、塩見君の瞳がどんどん迫って来るではないか。
──そのまま、振り払うタイミングを失い、私達の唇は重なった。
「っ……」
すぐさま離れると、雨の中、塩見君は真剣な表情をしている。
「さっき、じっと嶋原のこと見てたでしょ」
「……そうだっけ」
「嶋原のこと好きになっても、意味ないよ」
「そんなんじゃない」
言っても、塩見君はいつものように笑ってくれずに、私の手首を掴んだまま。
「俺、分かるんだよ。石黒も前、嶋原のことが好きだった。でも、多分あいつ振られて、すぐに記憶からも消去された」
「え……」
「俺、恵口さんのこと、大事にするよ」