「一緒に虹を、見てみたい」





 だったらいいじゃん心配だから、と言う石黒に押されて、俺は放課後恵口の家を訪ねることになったのだが、帰り下駄箱を出た所で、毛利ナズナとバッタリ顔を合わせた。

「嶋原君じゃん」

「あぁ」

「今から帰るの? 一緒に帰らない?」

 同じく雨人の毛利ナズナのことは、世界から消失して帰ってきた後も、リセットされていなかった。

「ごめん、ちょっと友達の家に寄ることになってて」

「クラスメイト? 女の子?」

「まぁ、うん」

 隣を歩く毛利は、目を惹く綺麗な容姿をしていて、大人っぽい。





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