「一緒に虹を、見てみたい」
「それって、ショートカットの元気の良さそうだった子?」
「ううん、もう一人の」
「あぁ、あっちの可愛い子か」
毛利も部活をしていないようで、放課後は毎日時間があるらしい。
「せっかく会ったし、お茶でもって思ったんだけれどね、残念」
「じゃ、ここで」
校門まで来ると、毛利は左に曲がるらしく別れを告げる。
だが、行こうとした所で制服の裾を握られ振り返ると、毛利は微かに口角を上げた。
「こっちで好きな人、作らない方がいいと思うよ。記憶消えるんだろうし」
「好きな人って、別にいないけど」
「……なら、いいけれどね」
言うと、毛利は大人っぽく微笑んだ後、俺に背を向け歩き始めた。