「一緒に虹を、見てみたい」
その後、途中コンビニに寄って、五分程歩くと、恵口の住む家が見えてきた。
チャイムを押すと母親が出て、まぁ、と驚く。
だが、この人が本当の母親でないことは、以前恵口が言っていたから知っていた。
──ということは、親戚のおばんさん? それとも全く別の人?
「あの、学校で貰ったプリントと、これ良ければ」
喉に通りの良さそうな物を買って手渡すと、二階の恵口の部屋へと案内された。
「希花ちゃん、嶋原君が来てくれてるわよ」
恵口の部屋を開けておばさんが言うと、数秒の沈黙後、恵口はバッと飛び起きた。
「しっ、嶋原君?」
「えぇ、ほら、来てくれてる。お茶、持ってくるわね」
部屋の中に招かれたはいいが、女の子らしいピンクの部屋に、思いっきりパジャマ姿の恵口、目のやり場に困る。
「来てくれると思ってなかったから、ビックリした……こんな格好で、恥ずかしい」