「一緒に虹を、見てみたい」





「石黒が様子見て来いって煩くて、いきなりごめん」

 貰ってきたプリントを渡すと、俺は遠慮気味にアイボリーのカーペットに腰を下ろす。

「体調どう?」

「薬飲んで、熱は下がった。遅れた夏風邪っぽい」

 コホン、咳をする恵口は、おばさんが下から持ってきたお茶をゴクリと飲む。

「恵口、あのおばさんって……」

「本当の親じゃないよ」

「うん、前言ってたよな。親戚の人?」

「……それも、違う」

 言いたくなさそうな、それでも口を開こうとしている恵口を見据えていると、再び咳が零れる。

「別に、無理しなくていいから」

「……里親、なの」

 しかし、苦し気に言った恵口は、俯いたまま、言葉を紡いだ。

「私の両親……私が小学校に上がる前に、交通事故で亡くなって」

「え」






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