「一緒に虹を、見てみたい」
第六章 『世界は紙一重』




~恵口希花~

 再び嶋原君が消えて、一ヶ月。

 最初の一ヶ月までは、前回同様想定内だったのだが、それから二ヶ月、三ヶ月と月日が経っても、雨の街には太陽が昇っていた。

 どうしてだろう、おかしいな。何で雨が降らないの……。

 予報は一週間先まで晴れマーク、雨の降る気配は見られない。

 季節は秋から冬に変わり、早十二月になる。

 ツンと冷える空気を柔らかく照らす、暖かな太陽。

 夢見ても、願っても、嶋原君は帰ってこない。

 例え、帰って来ても、記憶が消えている。

 そんな救いようのない現実を、私達は受け入れるしかない。

「恵口さん、クリスマスどこ行こうか?」

 昼休み、残された石黒さんと塩見君といつものようにお弁当を食べていると、当たり前のように塩見君が尋ねてきた。

「どこって」

「隣街にね、イルミネーションが綺麗なスポットがあるんだ、一緒に行かない?」

「……そうだね」

 あの夏、キスをされた日から、私と塩見君の関係は変わらない。






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