「一緒に虹を、見てみたい」





 その間、塩見君が他の女の子に何かをしているような所は見ていないし、変な噂も聞かない。

 女好きなのはキャラだけで、実際は一途だと、嶋原君が出会った最初の頃に言っていたもんな。

 すっかり三人でいるのが当たり前になりつつあって、嶋原君の存在がどんどん遠くなっていく。

 どうして帰ってこないの、どうして雨は止んでしまったの。

 世間では雨の街が消えてしまった、もう雨の街は戻ってこない、という声も多くあり、私の不安を掻き立てる。

 たまに研究所の前を通って帰っているものの、博士と会うことはなく、私は落書きされた白い壁だけを見て、帰路に就く。

 また友達になれたらね、と言って、お見舞いに来てくれた嶋原君と、確かに私は笑い合った。

 初めて両親のことを言って、心の距離を自ら縮めたはずなのに。

 いつになったら帰って来るのだろう。私の目を見て、笑ってくれるのだろう。

 ずっと待ってる、待ってるのに、全然帰って来れない……。

 帰って来れる予兆すらない。






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