「一緒に虹を、見てみたい」







 一緒に来たばかりなのに、じゃあ、と言って塩見君は私から離れてゆく。

 えぇ、何も考えてなかったよ。どうしようか。

 男の人にプレゼント、なども初めてで、私はオロオロ雑貨屋を見渡す。

 手袋、マフラー? でも、予算は千円だから、良い物は買えないし……。

 迷っているうちにどんどん時刻は迫り、最終手段で、私はレジ横にあった、大きな靴下に入ったクッキーやキャンディーの詰め合わせを購入すると、ラッピングをお願いした。

 センスがなさ過ぎて、喜んでもらえないかも。

 プレゼント交換などしない方が良かった、と思われたらどうしよう。

 俺の千円返せって言われたら……。うわぁ。

 モヤモヤした気持ちで入り口に行くと、既に塩見君はどこかの買い物袋を手に持って私を待っていた。

「塩見君、おまたせ」

「ギリギリまで悩んでくれてたんだね。楽しみ」

 いやいや、期待しないで、と思いながら近くの喫茶店に入ると、私はラッピングされた包みをおずおず取り出した。

「うわ、大きい。何だろう」






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