「一緒に虹を、見てみたい」






「じゃあ、イルミネーション見に行こうか」

 塩見君は私の手を握ると、前を歩き出す。

 温かくて、大きな手。

 これは、デートなのだろうか。

 相手に気があると分かって出かけて、でも、今まで積み上げてきた友情をも一緒に失うのが怖くて、こうして二人でいる。

「恵口さん今年転校してきたばかりだから、まだ見たことないと思って言ってるんだけど……駅の裏側にある公園、行ったことある?」

「ううん、ない」

「お、じゃあ喜んでもらえると思う」

 塩見君は軽い足取りで前を歩き、私の手を引く。

 そして、改札口を突っ切って裏口に出ると、大きな公園に繋がった。

 青い電球が芝生の上に何千も並んでいて、キラキラ光っている。

 まるで、光の海のよう。

 沢山のカップルが園内を歩いており、私も塩見君の隣を歩きながら、輝くイルミネーションを見ていく。






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