「一緒に虹を、見てみたい」
今まで一度も連絡を取ったことなく、初めての試みだが、既読になるはずもない。
どうしてこんなに会いたいと思っているのだろう。
次に会えるのは記憶がない嶋原君だと分かっているのに、顔が見たくて、仕方がなかった。
「年明けまでもう会えないと思うけど、今年は色々とありがとう」
「こっちこそだよ」
「恵口さん転校してきて、こうやって友達になれて良かったよ」
屈託なく笑顔を見せる塩見君に笑い返すも、嶋原君のことが引っかかって、私は心から笑うことは出来なかった。
「そろそろ帰ろうか」
──先に言い出したのは、私の方だった。