「一緒に虹を、見てみたい」





「……凄く美味しい」

「ハハ、良かった」

「えーっ、俺も嶋原の卵焼き食べたい。……って、もうないじゃん」

「ちょっと、私も食べたかったのに。恵口さんだけズルい」

 久しいやり取りに、私は自然と笑みが零れる。

「恵口さん、今日は笑顔が多いね」

 塩見君の鋭い指摘に、私は頷くことも首を振ることもできずに、薄く笑う。

「嶋原が帰ってきて、凄く嬉しそうだもん」

「皆と同じように、嬉しいよ。半年ぶりだしね」

 だが、嬉しい気持ちと同時に、また消失へのカウントダウンが始まっているのかと思うと、苦しくなる。





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