「一緒に虹を、見てみたい」





「今から、行ってみない? あ、もうここ行ったことある?」

「……ない。私も、行きたい」

 ちょうど自分も、嶋原君と行きたいと思っている所で誘われ、私達は最寄りのバス停に向かった。

 そして駅行きのバスに乗って、十分程揺られると、この街では賑わっている所に出る。

 そのまま駅ビルに入ると、プラネタリウムは最上階にあり、平日だから空席は沢山あった。

 タイミングよく五分後に開始されるようで、さっそく中に入ると、天井は大きなドーム型になっており、お客はまばら。

 私と嶋原君はちょうど真ん中、ベストな位置に座ると、やっと一息つく。

「さっそく来ちゃったね」

「何か、付き合わせる形になってしまって、ごめん」

「いや、そんな」

「でも、行こうと思っている時に行かないと、また行けなくなってしまうから」

 だから、例え消えてしまっても行きたかった、と言う嶋原君は、薄暗闇の中、小さく笑った。





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