「一緒に虹を、見てみたい」
嬉しそうな嶋原君と一緒にプラネタリウムを出ると、エスカレーターに乗って一階まで降りていく。
「あ、嶋原じゃん」
しかし、降りてバス停に行こうとしてると、横から声をかけられ、そこには違う制服を着た男女。
この制服は、確かC高校。嶋原君の知り合いなのだろうか。
「中学卒業以来だな。俺のこと、覚えてる?」
でも、友達との記憶が残っていない嶋原君は、言葉に詰まる。
「ごめん、誰だっけ」
「あぁ、お前すぐに記憶消えるんだったな。それ、まだ治ってないんだ」
人ごとのような言い方は、バカにしているようにも聞こえる。
「てか、彼女できたんだ。良かったじゃん」
「恵口は友達」
「ふーん、友達ねぇ。よく友達できるな。まだ塩見とはつるんでる?」
「塩見は同じクラスだけど」
「あいつもお前みたいな奴とずっといて、変わり者だよな」