「一緒に虹を、見てみたい」
「んだよ、こいつ嶋原のこと好きなのかよ」
「この人も可哀想。もう行こう。ここにいても、時間の無駄」
女子生徒が男子生徒の腕を引っ張ると、男子生徒は険しい表情を残してこの場を去って行った。
何あの言い方、嫌な感じ。
チラッと嶋原君を見上げると、彼もこちらを見ていた。
「恵口、ありがとう」
「いや、私は、そんな」
「庇ってくれて、嬉しかった」
“こいつ嶋原のこと好きなのかよ”の発言については、嶋原君は特に言及してこず、私達は再びバス停まで歩いて行く。
気まずいのは私だけかな……。
「そろそろ弟帰って来るし、ご飯の準備しないとな」
「偉いね」
「慣れると、それなりに楽しいよ」
嶋原君がいない時は、父と弟、テイクアウトや外食が多いらしく、だからこそいる時は栄養のある料理を、と思っているらしい。
「あ、写真」