「一緒に虹を、見てみたい」






 ずっと隣にいる塩見君と、私はたまに二人で出かけて、一緒に空を見上げた。

 私達は曖昧な距離を保ったまま。

 塩見君のことは好きだ。話しやすいし、フォローしてくれるし、頼りがいもある。

 顔も広くて、一緒にいて笑顔が絶えない。

 それを好きだと言うのだろうか、という疑問を抱えたまま過ごす日々。

 ──更に、一ヶ月。

 ちょうど一年前に転校してきた七月を過ぎ、八月。

 高校二度目の夏休みを迎え、毎日補習を受けている。

 そしてお盆休みに入った今日、私とおじさんとおばさんは、久しぶりに街を出て、私が育った施設へ行こうとしていた。

 高速に乗るため、一先ず雨の街の境界を横切ろうと、東へ車を走らせる。

「希花ちゃん、施設へ行くのは久しぶりね。園長先生、来るって言ったら、とても喜んでいたわよ」

「施設に行くのは、一年ぶりになるね」

 おじさんとおばさんは、懐かしそうに微笑む。







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