「一緒に虹を、見てみたい」
「恵口さん、お待たせ」
嶋原君を含めて四人で会う時や、石黒さんと三人で会う時は必ず遅刻してくるのに、二人の時はいつも塩見君が先に来て、私を待っている。
「じゃ、行こうか」
電車で三十分先にあるD街に行くため、切符を買って電車に乗る。
気候は夏のように暑くもなく、冬のように寒くもなく、涼しく過ごしやすい。
「人で賑わってるんだろうなぁ」
「結構、大きなお祭りなんだね」
「出店の数が凄いよ」
電車に乗っている間も、降りて祭りの会場に行く間も、塩見君は笑顔で話しかけてくれる。
バスケ部のキャプテンになった塩見君が、他の女子生徒達から人気があるのは、何となく分かっていた。
一度、石黒さんとバスケの練習試合を見に行くと、塩見君を応援する人の多さに、圧倒された。
他校の生徒までいて、凄い人気。
明るく気さくな塩見君は、誰にでも好かれている。