「一緒に虹を、見てみたい」





「ちょっと良いことがあったからかな」

「何それー、気になる」

 以前、私は嶋原君に両親がいないことを話したのだが、私の心境はあれから変化した。

 嶋原君、私、ちょっと一歩前進できたんだよ。

 次に会う時は、少し変わった私と、会ってくれるかな……。

「俺、ちょっとトイレ行ってくる」

 残さず全て食べ終わると、塩見君は席を立ち私はぼんやりステージを見つめる。

 この会場にいる皆は笑顔で、とても楽しそう。

 季節は巡り、嶋原君が消失して、もう七ヶ月と半分。

 あちらの世界で、嶋原君は元気に暮らしているのだろうか。

 今、どんなことを考えているのだろうか。

 こんな風に、晴れた空を二人で見上げることは、いつか叶うのだろうか。





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