「一緒に虹を、見てみたい」
私は携帯を取り出すと、一枚の写真を画面に映して、口を瞑る。
雨の降るバス停、微かに笑った嶋原君と、ぎこちない表情の私。
会いたいな、会えたらな……。
会ったら、何を話そう。
でも、あぁ、また振出しに戻るのか。
今度はもう少し仲良くなれたらいいな。
「恵口さん、何見てんの?」
突如、ポンッと肩を叩かれ振り返ると、間近に塩見君の顔があって、一緒に画面を見てきた。
「嶋原?」
「あっ……うん」
「いつ撮ったの?」
「最後に帰ってきた時に」
「大事に取ってるんだね」
塩見君はワシャワシャ私の髪の毛を掻くと、眉を下げて笑う。
「恵口さんは、よく嶋原のこと、考えてるみたいだね」