「一緒に虹を、見てみたい」





「塩見君もじゃないの?」

「まぁ、俺もだけど……恵口さんは、いつも俺じゃなくて嶋原のことを見てるから」

「……そうかな」

 その後、再び手を繋いでお祭りを回っていると、十五時からお笑い芸人のライブがあるから、とステージ前の椅子に座って待っている時、思わぬ人物に遭遇してしまった。

「「あ」」

 隣に座ってきた人物をチラッと見ると、以前プラネタリウムを見た帰りに出くわした、嫌な感じのカップルだった。

 あちらも私の存在に気が付いたらしく、声が重なる。

「今日は一緒にいるの、嶋原じゃないんだ」

 会った瞬間、あの時を思い出してしまい、私の表情は強張る。

「あ、そうだ今晴れてるから、嶋原いないんだ」

「……そうですけれど」




< 165 / 275 >

この作品をシェア

pagetop