「一緒に虹を、見てみたい」
「あー、その間に彼氏作ったって感じ?」
「……そういうんじゃありません」
隣に座る男子生徒に、今日もピッタリくつく彼女。
「嶋原君、もう戻って来れないんじゃないの?」
「そうだよな、残念ですねー」
思うことはあるのに、どうにも威圧的に感じる二人に強く言えずに小声になってしまう。
先日私が言い返したのが気に入らなかったからなのか、嫌がるような言い方をしてくる二人にムッとしていると、様子に気が付いた塩見君がその場に立ち上がった。
「久米《くめ》、池田《いけだ》さん、久しぶり」
「え、塩見じゃん。もしかして、この人の連れ?」
「うん、そう。会うの、中学卒業以来だな」
嶋原君と中学から付き合いのある塩見君は、この二人とも面識があるんだ。
「二人とも、相変わらず、嫌な感じだな」
塩見君はサラッと言うと、私の腕を引っ張る。