「一緒に虹を、見てみたい」






「嶋原君と一緒にいる時に、偶然会って」

「何か言われた?」

「嶋原君のこと……馬鹿にしてた」

 それが許せなくて、先日は私も思わず言い返してしまったのだ。

「今度何かあったら、俺に言って。ホント許せないよな」

「……悔しかった」

「もうここにはいたくないね。帰ろうか」

 まだ来てそんなには経っていないものの、二人とも微妙な気持ちになってしまい、私達は駅に向かう。

 晴れ晴れしい秋空とは裏腹に、モヤモヤした感情が渦巻く。

 ──しかし、帰りの電車で、A街の境界に入って少し経ってからだった。

「えっ、雨」

 パラ、パラ……と雨が降り始め、微かな雨が、小雨に。

 すぐに携帯で天気予報を確認すると、晴れマークだった天気が、雨マークに変わっている。

 五日間曇り雨が続いており、突然の天気の変化に驚いて、心臓がバクバク、と音を立て始める。

 ──雨だ……。





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