「一緒に虹を、見てみたい」
「嶋原君……帰って来たのかな」
「そうかもしれないね」
「……会いたい」
ポツリ呟いた後、今塩見君と一緒にいるのに失礼なことを言ってしまった、と思い彼の方を見ると、塩見君はコクリと頷いた。
「嶋原の家、行ってみる?」
「えっ」
「ちょっと電話してみようか」
私が返事をする前に電車が最寄り駅のホームに到着して、塩見君は電話をかけ始め、暫く待った後に声を発した。
「嶋原、帰って来てる?」
ドキドキ音の鳴る胸に手を当て、私は塩見君を見つめる。
「俺、塩見。塩見健太。嶋原と同じくクラスの友達だよ」
やっぱり、嶋原君はこの街に帰って来ていた。