「一緒に虹を、見てみたい」






「良かったら今から会える? 俺、今友達といるんだけど、二人で嶋原の家に行っていい?」

 落ち着いた様子の塩見君は、暫くすると電話を切って笑顔を見せた。

「待ってるってよ」

「迷惑そうじゃなかった?」

「嶋原にしたら俺等初対面だから、ちょっと困ってたけど、まぁいいだろ」

 塩見君は中学の時に嶋原君の家に行ったことがあるらしく、私達は売店でビニール傘を買うと、自宅付近に着くバスに乗る。

 ドキドキ、ドンドン、変に緊張し始め、言葉数が少なくなってしまう。

 七ヶ月半ぶりに見る嶋原君に、変化はあるのだろうか。

「恵口さん、表情硬いよ。嶋原に会いたいって、ずっと言ってたじゃん」

「それは……まぁ」

 何度も想像した瞬間を迎えようとしているものの、すっかり会えないのが当たり前になっていたから、挙動不審になってしまいそう。





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