「一緒に虹を、見てみたい」
どうしよう、なんか、泣いてしまいそう。
「恵口さん?」
「……何でもない」
ゴシゴシ涙を拭うと、二人の方を見るが、目の周りは真っ赤になっていそうで。
「恵口さん、泣きそう」
「ごめん、何か、嬉しくて」
「ほら嶋原、泣く程、お前のこと待ってたんだよ」
「……ごめん、ありがとう」
見ず知らずの人にいきなり泣かれても、嶋原君は困るだろう。
私は必死になって笑い返すと、ようやくホッと胸を撫で下ろした。
「嶋原、お茶なんかいいよ。俺達は嶋原に会いに来たんだから」
「でも、何もないのはさすがに」
「じゃあ、そこの喫茶店にでも入ろう」